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本稿は、異読のある巻12 2858の第5句の 「与」の訓読に関して既存の注釈書における訓読及び注釈を検討し、より適切な訓読について考察したものである。また「与」を副詞と見て「トモニ」と訓読している問題に対し、中国語との比較検討を行った。その結果をまとめると、次のようになる。一番目、万葉集の中で与は2858番以外でサヘの表記として用いられた例がない。万葉集における「サヘ」の表記としては、音仮名28回, 訓読11回, そして訓仮名2回の計41回が見られるが、「与」が使われた例はない。二番目、「コソ」の表記として「与」が用いられた例が15回見られるが、すべて「動詞(連用形)+与」の形式で日本語語順となっているのが特徴である。従って漢文語順の「与+動詞(経)」 の「与」を「コソ」と訓読することには同意しがたい。三番目、「与」の訓読としては「ト·コス.アタフ」のみが存在し、訓読字の表記47回中、漢文語順は4回しかなく、43回が日本語語順となっている。特に巻19 4238の歌謠の「誰与」は漢文語順から離れ、すでに日本語の語順が定着しつつある事が分かる。四番目、第2句の「不寐」を除いて第1句から第4句まで完全に日本語の語順に従い表記されていることを考慮すると、第5句だけを漢文語順として読むことは異例であり、その根拠を提示することも困難であると考えられる。五番目、「与」がトモニと訓読され副詞として扱われていることに対し、中国資料を検討してみた結果、「与」には「トモニ(共に一緒に)」 の意は全く見られなかった。従って「与」についての辞典や注釈書で見られる「トモニ」の訓読は、副詞ではなく介詞(前置詞)として用いられていると考えた方がよいと言えよう。六番目、万葉集以外の上代資料『古事記』『日本書紀』『金石文』における「与」を検討してみたところ、「与」が単独で副詞として用いられた例は存在しなかった。従って、万葉集で「与」を「トモニ」と読み副詞として取り扱うことは適切ではないと言えよう。以上のような根拠により2858番の第5句の「与」は「ト」と訓読する方が適切であり、また「与」を副詞の「トモニ」と訓読することは中国語の用法には見られないので、これは日本式訓読もしくは日本語的な用法であると考えられる。