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古代日本における蛇神伝承は主に三輪山説話を中心として活発に論じられてきたといっても過言ではあるまい。しかしながら、各々の蛇神伝承の位置づけも重要であるが、各伝承を総括的にながめる視野も必要ではないかと思われる。従って、本論文は、記紀․風土記を中心にして蛇または蛇神の神性を具体的にみて、古代日本人における蛇神はどういう象徴体系をもっているかを考察するものである。上代文献にみられる蛇神は、山の神․水の神․雷神․剣神などの豊饒神の性格があり、一方死霊者の守護神や祟る神としての否定的な神性も見せる。日本では古くから蛇は水の神として信仰され、農耕神として属性を持ち合わせていると考えられたが、記紀や風土記の世界において、蛇神が農耕神と同一視された明らかな例は見られない。蛇神がどういう経路をたどって農耕神として発展していくかを考察する必要もあると思う。また、蛇神伝承のあるところはすべて砂鉄の産地である。則ち八岐大蛇退治伝承地である出雲を始め、伊吹山の地域やはり良質の砂鉄産地であることを考慮すれば、産鉄集団における蛇神伝承の問題はこれから検討すべき課題たど考えられる。