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本研究では、丁寧体を基本レベルに設定した話者の普通体発話に関して、どんな状況でどんな内容の発話をする際、普通体発話が可能となるのかという観点から分析を行い、①普通体であっても失礼になる危険性の低い箇所での普通体発話と、②丁寧体であった方がコミュニケーションに摩擦を生じる可能性の高い箇所での普通体発話という、2つの異なるタイプがあることを見出した。 本稿では、②の丁寧体であった方がコミュニケーションに摩擦を生じる可能性の高い箇所での普通体発話について考察した。その結果、本研究の資料では、①自分の発話に対する他の話者の否定的な確認要求に対し、自問形式で、他の話者の意見と対立する可能性のある答えを述べる、②自分の発話に対し、他の話者が否定的な態度を示したり、あるいは他の話者から求められて伝えた情報に興味を示してもらえなかったりした場合に、聞き手目当ての終助詞を伴わない普通体で、自分の発話を言い換えたり繰り返したり補足したりする、③誰にでも話題を導入する可能性がある場合に、聞き手目当ての終助詞を伴わない普通体で、新話題となる可能性を持った情報を述べるという3つのタイプが観察された。 これら①~③はいずれも、丁寧体を用いて他の話者に直接的に伝えると、コミュニケーションに摩擦を生じる可能性が高い状況·内容の発話であり、普通体を用いたからといって、親しさや改まりすぎない態度を示すことにはならない。いずれのタイプでも声が小さくなるケースが多いこと、①·②の状況·内容の発話をする際は必ず自問形式·聞き手目当ての終助詞を伴わない普通体が用いられていることからも、他の話者に直接向けた発話とならないようにすることで、他の話者への配慮を示していると考えられる。