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本稿は、室町から江戸時代にかけて編纂された『御伽草子』を対象にし、「む」の特徴を考察したものである。まず『御伽草子』の用例を集めて分析し、「む」の表記上の特徴と意味用法を調べた。 表記上の特徴は、全体476の「む」の用例の中で「む」の例は一例しかなく他は全部「ん」が現れた。しかしながら、室町時代の他の口語資料に現れるとされる「う」の形態は現れなかった。これは、『御伽草子』が口語資料ではありながらも読むための短編小説であるという特徴が反映されたからであると考えられる。  意味用法は先行研究によると「推量」と「意志․決意․希望」が主な用法とされているが、本稿でも五つの意味用法のなかで「推量」と「意志․決意․希望」の意味が多く現れており、「推量」の意味が110例(23.1.%)、想像の意味が3例(0.9%)、「意志․決意․希望」が284例(59.7.%)、「勧誘․期待․命令」が13例(2.7%)、「婉曲․仮定」が67例(14.1%)であった。この結果の中で特に注目に値するものは、「む」の意味用法の中で「意志․決意․希望」が最も多く現れるということで、「む」の意味用法は主に「意志․決意․希望」だったのではないかと推測できる。これは「む」が語形変化した形態の「う」が近世江戸前期には「推量」と「意志」を表したが、後期には「意志」を表すことが多くなり、現代語の口語には「意志」の意味だけ残ったのと脈を同じくしていると考えられる。すなわち、室町時代の中期においてすでに「む」の意味用法は「意志」の用法がかなり高い比率を占めており、これが「う」の形態に変わっても、意味用法においては「む」の意味用法がそのまま受け継がれたと考えられる。しかしながら、このことを明らかにするためには中世から近世までの資料を収集して、時期別に調べる必要があると思うので今後の課題にしたい。 また,本稿では「む」の意味用法が使われる基準についても考察を行った。「む」の直前にくる助動詞との関係と意味用法を調べた結果、「推量」、「意志․決意․希望」の意味以外に「仮定․婉曲」の意味も現れるのが発見された。したがって、今後は意味用法を分類する際には「む」の直前にくる助動詞との関係も考慮に入れて調べる必要があると考える。 今後は「む」の意味用法の分類基準において、先行研究に現れた分類方法の問題点を修正し、足りないところを補いながら考察を行いたい。さらに、中世の他の口語資料に現れた「む」の様相及び各時期に成立した資料に現れた「う․よう」の意味を比較․分析して意味用法の変化様相を探ってみたい。