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太宰治の『お伽草紙』は「前書き」「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切雀」の五部仕立てになっている。1945年三月に書きはじめて七月に完成し、敗戦直後の十月に筑摩書房から刊行された。 この作品は室町時代から江戸初期にかけて創作されたお伽草子という古典を典拠にしたものではない。太宰の自我反映の批評的形態の小説である。「瘤取り」では家庭のなかでのお爺さんの孤独の実相を表現し、「浦島さん」では、批評のない国にあこがれる浦島を描いた。そして、「カチカチ山」では、兎に対する愛のため惚れたが悪いかの一言を残し、ついに殺されてしまう狸、「舌切雀」では、女房のおかげで宰相の地位に昇るお爺さんの物語は他者との交感の欲望を表した太宰の現実に対する愛着であることを意味する。 太宰は自分だけの文学世界を古典とフォークロアのパロディーという形式で具現していく。こうした太宰の盛んな作家活動に対して当時の文壇では文学者としての資質に欠けていると評価する。これに取り組んで彼は「瘤取り」で鬼を隠喩で使って文壇を批判し、続けて「如是我聞」では志賀直哉を露骨に批判する。この状況からみると、「瘤取り」での鬼の述べは作品構成の重要な位置に置かれ、「瘤取り」が書かれた背景として当時の文壇と太宰との関係を考えざるをえないところを明らかにすることができた。これは以来に書いた「如是我聞」とも関わりのあるからである。