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世阿弥の夢幻能作の一つである『檜垣』には、彼の作意によったものと見受けられる一つの脚色が見える。それは本説の世界に見えない「老境の舞」の話が彼によって創作され、作品構成のクライマックスのあたりに組み込まれていることをさす。作品の主人公たる檜垣嫗は、このところで彼女なりの至福を味わうわけであるが、これが他ならぬ作者の作意によるものであることが確認される。その作意の根幹をなすものは、能楽論書にも説かれている「変化」の工夫であり、これによって能『檜垣』における「老木の花」は見事に咲かされていると判断される。