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80年代以降、韓国と日本の文学はイデオロギーを脱し、恋愛談を扱った私小説が主流をなしてきた。社会の中の個人ではなく私個人を語る告白小説が主な文学風土を造成した。その一方で時代と共に変化する家族内権力の拮抗関係、急速な高齢化による問題が文学作品を通じて描き出された。これまで社会的弱者、あるいは疏外された存在だった高齢者を主人公にしたという点で佐藤愛子(以下 佐藤)と朴婉緖の小説は80,90年代の他の作家たちと区別される。とくに『風の行方』(佐藤作、訳書『도쿄가족』),『あまりにも寂しいあなた』(朴婉緖作、原題『너무도 쓸쓸한 당신』)の二作品が、現代社会の中の高齢者問題を扱っている事に着目して、‘老年’を中心に研究を展開する。高齢者を時代遅れの落ちぶれたイメージで扱った小説が今までの主流だとしたら、二人はむしろ高齢者を人生の知恵と経験を積み重ねた存在として描いている。とくに佐藤の『風の行方』と朴婉緖の『あまりにも寂しいあなた』は、共に七十才を越えて書いた作品で、現代社会の家族制度、高齢者問題、性意識の変化などさまざまな問題を通じた世代の葛藤を提起した。 両作品が共に描き出しているのは、そのような葛藤における高齢者のアイデンティティ問題だといえるだろう。なかでも『風の行方』における戦争体験世代と戦後世代の国家観は、接点を見つけにくい程に掛け離れている。『あまりにも寂しいあなた』に登場する体制順応型人物は維新政権と軍事政権を経験した世代で、彼らは国家あるいは国家権力イデオロギーに自分の存在意味を重ねていたが、現実ではすでにその意味を失ってしまった。イデオロギーが無用の物になってしまったためにアイデンティティの混乱を経験する過程を描いている。さらに自分のアイデンティティを確認する媒介として夫たちは国家権力と家父長制への‘信念’を、妻たちはその対抗軸として現実的な‘財貨’を追い求める。 これまで‘高齢者’を対象にした文学作品の中で、高齢者はアウトサイダーとして描かれてきたが、現代の高齢者は社会で一定の領域を占めていることをこの二つの作品を通じて改めて確認することができる。また高齢者の性やイデオロギーを描くことによって、社会の一員としての高齢者、人格や個性を持った生活者としての高齢者、それゆえに葛藤する高齢者を浮き彫りにした。以上のような特徴が、自己探求を重視する日本の私小説文学や微視的観点の日常事を扱った韓国の女性小説とはっきり区別される点である。