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従来の先行研究では、「数量詞+も」形が表す意味を、「強調」と「概数」の二通りに大別されるのが一般的であった。本稿では「数量詞+も」形が大量強調の意として解釈される場合「基準値+α」と「基準値を想定しにくい」場合があることを指摘した。前者は「普通より」「いつもより」「例年より」「一般より」という比較の気持ちを込めながら、表示値が基準値より大きい数量であり、後者は、基準値が特定しにくく、表示値が大量であるとの気持の表れであることを明らかにした。 概数についての従来の研究は、主に「数量詞+も+れば」形に焦点が当てられてきたが、確定条件文と一般条件文の中に「数量詞+も+と」形が用いられる場合にも概数の意を表すことを指摘した。「数量詞+も+れば」形の含みについては、先行研究の「表示値を含む表示値の前後」の他に「表示値よりやや少ない数量」が想定される場合があることを挙げ、後者のように解釈される「数量詞+れば」と「数量詞+も+れば」形が表す意味の相違点についての考察を試みた。考察の結果は以下の通りである。 Ⅰ.「数量詞+れば」形は、表示値は基準値を賄うことを意味する。 Ⅱ.「数量詞+れば」形の後件の可能表現、または「余裕」「十分」「何とか」などの充足の意を表す語が置かれることによって、表示値が基準値を賄うとの意味が強まる。 Ⅲ.「数量詞+れば」形に「も」が用いられることによって表示値が基準値を賄うとの意味が強まる。 Ⅳ.「数量詞+も+れば」形の後件には、可能表現、または「余裕」「十分」などの充足の意を表す語が用いられやすい。「何とか」又は「何とかセーフ」「何とか間に合う」のような意を表す語は「数量詞+れば」形に比べ、置かれにくい。