ABSTRACT

本論文は「清水寺に来れる女の懺悔」の段落で見る真砂の愛について検討するし、作家芥川が真砂を通じて描き出した女性観について考察する。芥川は「多襄丸の白状」の段落で真砂について‘気性の烈しい女’と描いた。そのことで夫の武弘は死に、多襄丸は逮捕され極刑に処される状況に置かれた。本段落では真砂の気性の烈しさは、そのまま明らかになっているが、女性としての恥と殺害に対する罪の意識を通じて、その愛情はひたすら夫の武弘にむけるようにした。ただ、本段落で真砂はレイプされた自分を振り返らないほど気の強い女として再登場しているが、夫殺害について憤慨している姿を描くことで、その本音は夫を殺害したくなかったということをアピールしている。つまり、レイプされた後の真砂という状況を通じて、各段の語り手による女性観が明らかになっておる。その語り手は乃ち芥川の自分自身である。芥川は女性の強さを描きながらも、真の女性の気質というのは一人の男だけに向かう愛情から探しているし、それが真の女性が持つべき気性であることを浮上させている。

KEYWORD

芥川竜之介、藪の中、真砂、女性認識、愛

REFERENCES(13)open

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